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村上春樹さんのエッセイ、「ラオスにいったい何があるというんですか?」を読んでいて、実に腑に落ちたことがありました。

ラオスに行って今後の人生で役に立つものはないかもしれない。ただの思い出としてしか残らないかもしれない。でも、そもそもそれが旅というものではないか。それが人生というものではないか。

というようなくだりを読んで、とても救われた気がしました。合理的に考えれば考えるほど実は、人生の本質や願望から遠ざかるような気もします。

旅というのはしばしば人生の縮図に置き換えられます。旅の仕方は人生の生き方に似ているということかもしれません。思い返してみると、そのような節が見受けられます。

そもそも生まれたときには思考すらありませんでした。それが生きているうちに常識や偏見が幾層にも重なり、人生とはこういうものだとそれぞれが考え始めます。

エッセイの文中にも出てきた、ビッグバンから新しいビッグバンの間のわずかな光に過ぎないという立ち位置に身を置いたとき、自分の人生における本質的な部分が浮かび上がってくる気がします。

それでは、旅の目的が旅そのものだとしたら、人生の目的は人生そのものです。

自分に縁のあること、得意なこと、好きなことをやること。体が喜びを感じることをやること。

ただそれだけです。頭の中を空っぽにして、どこに向かいたいのかを感じましょう。