2016年08月

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アンタナナリボを歩いていると、謎の神殿に出くわしました。年季の入った大規模なものですが、およそ大事にされているとは言い難く、ゴミは散らかっていて、近隣の人たちの公園のようでした。

価値というのは人によって変わるものです。私は古い日本家屋が大好きで、いつも掘り出し物がないか探していますが、母親には「ボロ家」と一語で括られます。

和樂という素晴らしい雑誌に当店ショールームが取り上げられたおかげで、随分と人からの評価は変わった気がして大変感謝しております。

たとえ本質的に美しくて価値のあるものでも、誰かが認めたことが社会の大きな後押しを経て、初めて一般的な価値として認知されていくということでしょう。

柳宗悦さんが誰も見向きもしなかった名もなき朝鮮陶工の茶碗の美しさを見出し、のちの民藝運動に繋がって、人々の中に大きな価値を持ち始めたように。

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2015年にカザフスタン、キルギス、タジキスタンを旅しました。キルギスから陸路でタジキスタンに行きたかったのですが、事前にあまり調べていなかったため、現地人しか行けない道を通ってしまったようです。

行けると言われたのでお金を払っていた乗り合いタクシー運転手と言い合いになり、この美しい山が見える大平原で降りました。

手元のiPhoneのグーグルマップによると、20キロ先に点があったので、おそらく集落があるとの確信からでした。5時間歩けば着きます。

この何もない荒野で、明日どうなるか分からない中で、気持ちの良い風の中、一人で歩き始めた瞬間を忘れません。

歩くこと15分、何と一台の車が通りかかりました。一生懸命止めにかかり、何とか止まってくれたので説明すると、乗れば?とのことでしたので、感激して乗り込みました。

よくよく話してみると、こちらも乗り合いタクシーだったようで、200円払って最寄りの集落に降ろしていただきました。

そこで出会ったのがこちらの青年。泊まるところを探してキョロキョロしていると、すぐに人がたくさん集まってきて、こちらの方がついてきな、と。

で、ご飯にもありつけ、無事眠れたのでした。このような素晴らしい大自然の中でも、皆さんスマートフォンでいろんなものを見ていて驚きでした。

彼らにとったらロシア語こそが共通語なので、ロシア語を何で学ばないんだと、唯一英語がしゃべれる英語教師のおばちゃんが言っていました。

旅をしていると、いろいろな人生を疑似体験できます。また、こんな見ず知らずの旅人を助けてくれるなんて、と感謝の気持ちも湧いてきます。

同時に、助けていただくまでのコミュニケーション能力が発達します。人生では、お願いすることは意外と大事なんだなぁと感じたりもします。

これからもたまには一人旅に出ようかと思います。