アンタナナリボを歩いていると、謎の神殿に出くわしました。年季の入った大規模なものですが、およそ大事にされているとは言い難く、ゴミは散らかっていて、近隣の人たちの公園のようでした。
価値というのは人によって変わるものです。私は古い日本家屋が大好きで、いつも掘り出し物がないか探していますが、母親には「ボロ家」と一語で括られます。
和樂という素晴らしい雑誌に当店ショールームが取り上げられたおかげで、随分と人からの評価は変わった気がして大変感謝しております。
たとえ本質的に美しくて価値のあるものでも、誰かが認めたことが社会の大きな後押しを経て、初めて一般的な価値として認知されていくということでしょう。
柳宗悦さんが誰も見向きもしなかった名もなき朝鮮陶工の茶碗の美しさを見出し、のちの民藝運動に繋がって、人々の中に大きな価値を持ち始めたように。